僕が学生時代だった十数年ほど前は、スポーツ障害が起きても、ストレッチをしたり、腹筋背筋をしたりチューブを引っ張ったりすれば意外と簡単に治るケースが多かったように思うのですが、最近の若者の体というか、現代人の体はより複雑化してきているように感じます。
最近話題になっている体罰問題にしても同じように複雑化し、以前は叩いて「わかったか!」「わかりました!」で済んでいたことが、済まなくなってきています。
生徒の心の中も単純には解決しないことが増えてきているように思います。
しかし、そういった複雑化も、進化であって高度化している証だと思います。
ただ、医学が進歩すればするほど、新型インフルエンザのように病原体も進化していくのと同じように、進化の過程の裏には、必ず副作用も進化していっていると感じます。
スポーツ界でも以前、日本が景気が良かった高度経済成長期~バブルの時代では、物質的な豊かさがあり、西洋からの影響も多大に受けていました。
それを証拠に、ウェイト・トレーニングなどによって見た目の体を大きくしていくことが重要で、とにかく、たくさんの筋肉の鎧を身につけることが重要でした。
しかし、日本の高度経済成長に歯止めがかかった今は量より質で、増やすこと拡大していくこと消費していくことではなく、いかに内容や質を高め、今あるものを如何に効率よく無駄なく使いこなせるようになることが重要だと言われています。
ということは、今後スポーツにおいても、見た目の体の形や動作だけに囚われ、物事を単純化し、「これさえやれば・・・になれる!」といった簡単なものとしてとらえるのではなく、より複雑に絡み合った精神的肉体的環境的な要素や、目に見えない体のしくみや成り立ちを理解し、包括的統合的にとらえることができなければ、根本的には解決できないことが、今後たくさん出てくるように思います。
一発殴って、全てが解決する時代ではないのです。
そういった奥深い眼を持って洞察力を磨いて治療や指導に生かしていきたいと思います。