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- 「ガラスに映った姿を見て、びっくりするんです。えらいお婆ちゃんになったなって」
当院は平日の午前中、ご高齢者の方が比較的多いのですが、このような話をお聞きすることがあります。腰が曲がっているのを治したい方や、これ以上曲がらないようにしたいと考えている方はけっこういらっしゃいます。
たしかに見た目年齢がだいぶ違ってきます。そういった方々を拝見させていただきますと、年齢を重ねることで足腰が弱くなり、体を支える力が弱くなって自然と曲がっていくということもあるかとは思うのですが、腰自体が自然に曲がっていくというケースは少ないように私は感じます。
人間、歳を重ね足腰が弱くなっていくと、体を支えようと、力の入りやすい上体の力でカバーしようとしだします。
「よっこらしょ」と言いながら立ち上がる時に手でどこかに掴まり、その支えで起き上がろうとしたり、杖をつくことで体を支えようとしたり、足腰の弱さを上半身でカバーする傾向が強くなっていきます。そういう使い方をしている人の首や肩がどうなっているか診ていきますと、首が縮み肩が上がり、すくんでいるような状態になっています。
(首がスッと伸びているのに腰が曲がっている方は見たことがありません…)頭がスッとまっすぐ伸びて、肩が下がっていると自然と胸が張れるので、体は前に倒れず、体の重心は腰にあるので、腰は曲がってこないのですが、首や肩が縮こまることで、体を支える重心は上半身となるので、自然と前傾姿勢になっていきます。
そういった方が、いくら体をまっすぐに起こそうとしてもなかなか体は起きてくれません。
なぜなら、そもそも体を首や肩で支える癖ができてしまっているので、腰をまっすぐに伸ばそうとしても、腰そのものを伸ばすのではなく、首や肩の力を使って上体を起こそうとするので、ますます首肩が縮こまり、縮こまるからまた前傾姿勢に戻りやすくなり、再び伸ばそうとするけれど、また首肩の緊張が増すために瞬時に元に戻ってしまう…という悪循環に陥ってしまいます。ですから、曲がっている人が腰にコルセットを巻いて固定させている方もいますが、あまり変化がみられないのも、そういうことなのかと思われます。
まずは、首肩で体を支えようとする癖を取り除くように、緩めていかなければいけません。それと同時に上がってしまった重心を下げていくように、腰から足、そして地面に向かって重心を下げていかなくてはいけません。
年齢による衰えは絶対に誰しも避けられないものですが、衰えを助長させない正しい姿勢を身につけることは可能だと思います。
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