どこに何があるのかを見つけるのが仕事

これは私の施術に限った話ではないと思うのですが、いくらスペシャルな施術をしたとしても、患者さんが数日間徹夜していたり、高熱を出していたりした場合、全く施術の効果は発揮されません。

逆に生活に問題なく、ただ単に疲労や姿勢、動作の偏りが原因であった場合、治すことはそんなに難しいことではありません。

先日もこんなことがありました。
妻が首を痛めて施術をしたのですが、その時はマシになったのに数時間後にはまた元に戻り、不満タラタラ。。
よくよく話を聞くと、前髪が伸びてそれが気になって、施術後もずっと首を右に傾けていたとのこと。
そりゃ治らんよなぁと痛感させられました。

その他にも、例えば、野球少年が腰を痛めていたとして完璧な施術をしたとしても、家に帰ってからお父さんが明らかに腰に無理のかかるフォームを日々子供に教え込んでいた。
どうりでなかなか治らないよなぁということもあります。

また、首や肩コリがガチガチで、施術で一旦は良くなるけれど、すぐまた戻る。
話を伺うと、家庭内のいざこざが日常的にあったりする。

大事なのは、目の前の患者さんの身体や会話や佇まいを通して、うまくいってない原因がどこにあるのかを見分けることです。

痛みが変わらなかったり、ぶり返すということは、施術技術が足りないということも勿論ありますが、施術以外のところに要因が転がっているということが多分にしてあります。

そして、この世の中には(現時点では)治せないものがあるということを知ることです。

残念ながら今の私の技術では、半身不随の患者さんを歩けるようにすることはできません。
高熱をすぐに下げることもできません。
睡眠不足を瞬時に改善させることもできません。
折れた骨を瞬時に引っ付けることもできません。    視力を元に戻すこともできません。

できることとできないことを把握した上で、できることを的確に処理する。
そして、施術では手の届かないところを見つけたなら、それが患者さん自身が対処できることであるなら対処してもらう。

自分自身の施術技術を磨いていくことは継続していきながら、どこまでできるのか、どこからができないのかを把握しておくことが重要であり、患者さん側で対処できることであれば率直にお願いする。

本当は「何でも治せます!」と豪語したいところですが、自分の守備範囲(治せる範囲)を知ることも重要であると最近感じます。

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