マッサージではよく硬い箇所を強く揉みほぐすようなイメージをお持ちの方が多いとは思うのですが、私の施術では少し違っています。
チョロQってご存知でしょうか。ゼンマイを巻いて、勢いよく進んでいくクルマのオモチャです。
チョロQが勢いよく飛び出して、壁にぶつかって止まってしまうことがありますが、壁をどけてあげるとまた勢いよく進み出します。
患者さんが固まっていたり、こわばっていたり、緊張がある時というのは、行き場のない衝突が起きています。
力をうまく逃がせられたら楽なのに、通り道を失って行き詰まってしまっている。川の流れの中にダムができて、水の流れが堰き止められているような感じです。
治療をしていくことで、障壁を少しずつ取り除いていき、流れを取り戻してあげる作業に似ています。
自己治癒力が高く、自ら治ろうとする勢いがある人、例えば年齢が若かったり、健康になろうとする意欲が高かったり、人任せではなく自力で健康になろうとする意思が強いかどうかによって、チョロQのゼンマイがたくさん巻かれているかどうか、勢いがあるかどうかが決まってきます。
ですから、硬いものをガンガン攻めて緩めるというのではなく、「あー、ここが障壁となって治りたいのを邪魔してるのか」といった感じで患者さんの身体と対話していきます。
硬くなってるのには理由があります。理由がちゃんとあるのにむやみやたらと一方的に力対力で解決させようとするのは、患者さんにとっても治療家にとってもお互いにストレスになりますし、痛みがさらに強くなってぶり返すということにもつながりかねません。
治る方向へと導いて、方向付けをしてあげることが治療の指針ではないかと感じます。