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- 『貝原益軒 養生訓 ~最後まで生きる極意~』 帯津良一著
養生訓は、「○○べからず」「○○べし」という言葉で終わることが多いです。やってはいけないこと、やらなければいけないことに溢れていて、それをしっかり実行するのは大変なことだと思いがちです。ところが益軒は一方で、「凡の事十分によからんことを求むれば、わが心のわづらひとなりて楽なし。禍も是よりおこる」といっています。
つまり、「すべてのことに完全であろうとすると、自分の心の負担になってしまい、楽しみがない。ここから不幸が始まる」というのです。「○○べからず」「○○べし」といわれても、それに対して完璧を求めるなというのです。
さらに、「他人が自分にとって十分よくしてくれることを求めて、その人の足りないところを怒りとがめてしまえば、心の負担となる」と続きます。他人に対して完全を求めるのもよくないというのです。
自分の生活についてもこういいます。「日用の飲食、衣服、器物、家居、草木の品々も、皆美を好むべからず。いささかよければ事足りぬ」身の回りのものに良いものばかりを追求しなくても、多少よければ間に合うというわけです。
そして結論は、「十分によからん事を好むべからず。是皆、わが気を養ふ工夫なり」完全を求めないことが養生になるというのです。
この意見には私も賛成です。健康法の1つとして気功をやる場合でも、動きや形に完全さを求める真面目な人と、それほど形にこだわらない人がいます。完全を求める人は気功の練習に余念がなく、細かい動きまで神経を使ってます。一方、こだわらない人はそれほど練習にも熱心ではありません。ところが、こだわらない人の方が形はともかく、気功の真髄である内なるエネルギーを高めることが自然にできていることがあります。完全を求める人は形にとらわれて、気功の大きな世界が見えていないこともありえるのです。
気功に限らず完全を求める人は、様々の健康法に詳しく、サプリメントもまめに利用します。こだわらない人は健康法には無頓着で、好き勝手の食生活だったりします。ところが結果的に、こだわらない人の方が元気なこともあります。こだわらない人は余計な重荷を負わずに、良質な心の負担を持つことによって、自然治癒力を高めているのだと思います。
- 『貝原益軒 養生訓 ~最後まで生きる極意~』 帯津良一著
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