「つい差別してしまう13歳」読売新聞 人生案内欄 最相葉月

質問:13歳の女子中学生。人間関係における「差別」で悩んでいます。
私は、ある女子のことが苦手です。彼女は周りの人からあまり好かれていません。ケンカをして泣いたり、係りの仕事をしなかったりすることがあるからです。
私は、あからさまに彼女に嫌がらせをしたり、悪口を言ったりしませんが、なるべく関わらないようにしています。たまに、どうしても話したくない時があって、彼女に話しかけられて無視してしまうことがあります(無視するというのは、嫌がらせと同じかもしれません)。
「差別はダメだ」と思っていて、心の中で自分に言い聞かせているのですが、なかなか直りません。
私は彼女と「仲良くなりたい」のではなく、「他の人と同じように差別しないで接したい」のです。でも、どうしたらよいかわかりません。

回答:よほどの聖人でもない限り、人は人を差別します。差別のない社会はありません。性、人種、病気、収入、家柄、結婚、学歴、職業など、あらゆるところで差別は行われています。エスカレートすれば、犯罪や暴動、戦争を引き起こすこともあります。
あなたの悩みはそのような人間の本性と、差別はいけないことで、世の中から撲滅しなければならないという道徳規範との葛藤から生ずるものです。実際のところ、差別をしてもかまわないと考える人はそうはいません。でも差別してしまう。この二律背反な状況に陥っているのが私たち人間といえます。
最もたちが悪いのは無自覚な差別です。みんなが避けているからなんとなく自分も避ける。みんなが無視するから自分も無視する。付和雷同な態度は不幸を招くこともあります。
でも、13歳にしてあなたはすでに差別を乗り越えようとしています。なぜなら、自分がどんな差別をしたかを記憶し、本当は目を背けておきたいはずの自分の醜い感情を冷静に観察しているからです。あなたのような人が一人でも増えることが、いざという時に最悪の事態を防ぐための力となります。勇気をもってください。

この投稿を読んで・・・
「差別のない社会はありません」という辛辣な言葉に同調せざるを得ません。たしかに生きていると社会の中の随所に「差別」の存在を感じます。皆平等で平和な社会はもちろん目指すべきものではありますが、その目標と相反して、人間の心の中にある悪の存在は、常につきまといます。
心の中に天使と悪魔がいるなら、その悪魔を撲滅しようとすることよりも、自分の中にある矛盾した思いと真剣に冷静に向き合うことが答えのように思えます。
きっとおそらく、数式のような明確な答えは見つからないと思いますが、心の中の「天使でなければいけない」という一方的な概念で、悪魔を覆い隠さないようにすることが大事ではないかと思います。

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