30年程前、近鉄バファローズの野茂英雄投手がアメリカ大リーグ（MLB）に挑戦するとなった当時、多くの人が「成功しない、馬鹿げている、無謀な挑戦」と口を揃えて言われていたのが、予想を覆して活躍し、私も現地の大学で「ノモ！ノモ！」と呼ばれていたことを思い出します。
その後、何人もの日本人選手がMLBに挑戦しては大きな壁に跳ね返されてきましたが、現在では日本プロ野球（NPB）で優勝を経験し、タイトルを独占し、活躍した選手が新たな場所を求めてMLBに挑戦し、そしてMLBでも通用するという流れが完全に出来上がりました。
もちろん幼少期からアメリカで育った日本人や、高校・大学から渡米してMLBに挑戦した選手もいましたが、MLBの舞台で活躍した選手は意外にも今の段階では出てきていません。
現在の成功例としてはあくまで、『NPBで活躍し頂点を極めたのちに新たな舞台に挑戦する』というパターンとなっています。
昔は、「日本人なんてノーパワーだし、せいぜいアメリカのマイナーリーグクラス」と揶揄されていたのが、現在では日本独自のスモールベースボール（細かい戦略戦術を駆使した野球スタイル）を活かし、WBC（野球のオリンピック）でも世界一を計3回も獲ることができました。
NPBの実力が徐々に認められ、日本人選手の市場価値もどんどん上がってきて、契約時に高年俸も獲得できるようになり、NPBのレベルの高さも世界的に認知されるようになってきました。
そういった流れを是非とも日本のモトクロス界にも！と言いたいところですが、現在日本人同士が鎬（しのぎ）を削り合って、頂点を極めた者がいざ次の舞台へ！といった流れはなく、しかも先頭を走っているのがメジャークラスではない外国人という状況になっています。
したがって、日本のモトクロス界から大谷翔平を生み出すためには、まずは日本人が全日本モトクロス選手権で優勝を重ね、成功体験を熟成し、次のステージに挑戦するという流れが当たり前になっていくことではないかと思います。
そして、チャンピオンが去った空白のポジションには、次の世代の若者達がチャンピオンの座を奪い合うという流れが好循環を生み出すと考えます。
現にスター選手が出て行ったチームが不人気になったり、急激に弱くなるようなことはなく、必ずニュースターがチャンスを掴んで這い上がって、プロ野球人気と実力を支えています。
まずは日本の中で新陳代謝を活発にし、活性化することで、「日本で活躍して脂が乗り切った活きがいい奴なかなかやるやん」ということが海外にも知られ、日本チャンピオンの価値や日本人選手の市場価値も上がっていくのではないかと思っています。
